米国の住宅市場で、購入者の経済力による二極化が鮮明になっています。
「K字型市場」とは、富裕層向け市場が上向く一方、一般所得層向け市場が下向くように、二つの層が別方向へ進む状態です。
Realtor.comが2026年8月19日に報じた最新データによると、2019年より低価格帯の住宅供給が減っているにもかかわらず、1物件当たりの閲覧数も2019年の水準を下回りました。
通常なら、手頃な住宅が少なくなれば、残った物件に購入希望者が集中するはずです。しかし実際には、高価格と住宅ローン金利に耐えられず、初めて住宅を購入する層が市場から離れ始めています。
2021年には37万ドル未満の住宅が掲載物件の50%を占め、全閲覧数の54.2%を集めていました。現在は掲載物件の42.2%、閲覧数の42.8%まで低下しています。
成約件数にも格差が表れています。2026年5月までの20万ドル未満の住宅販売は前年同期比14.4%減少しました。一方、100万~200万ドルの住宅はわずか0.6%の減少にとどまりました。
購入に必要な所得も大きく上昇しています。スターターホームを購入できる年収の目安は、2019年の約4万3,000ドルから現在は約7万8,000ドルへ上昇しました。
年収7万5,000ドルの世帯が購入できるのは、全米で売り出されている住宅の23%だけです。さらに、全米50大都市圏ではスターターホームを購入するより借りる方が安く、2026年7月時点の差は月平均858ドルとなっています。
一方、高級住宅の購入者は金利の影響を受けにくく、100万ドル超の住宅では2026年1~4月に40%以上が現金購入でした。200万ドル以上では、現金購入が過半数を占めています。
投資家が注目すべきなのは、単に「低価格なら需要が強い」とは限らない点です。家賃、住宅ローン返済額、固定資産税、保険料を比較し、対象地域で借り手がどこまで負担できるかを確認する必要があります。
現在の米国住宅市場は、需要と供給が健全に均衡したのではなく、買えない人が市場から退出することで数字上のバランスが生まれている面があります。
これからは住宅価格だけでなく、「誰が購入でき、誰が借り続けるのか」を見極めることが、投資判断で一段と重要になりそうです。