キャップレートは低下、6年連続で他セクターを上回る好パフォーマンス
アメリカのマルチファミリー(集合住宅)市場は、2025年Q3も依然として他の不動産セクターを上回る強さを見せています。
Newmark の最新レポートによると、マルチファミリーの総合年間リターン(Total Return)は 5.48%。
これは NCREIF 全業種指数(4.65%)を上回り、2020年から6年連続の“セクター優位” となりました。
Total Return(総合リターン)とは?
ここで言う「総合リターン」は、
①賃貸収益(NOI)でどれだけ稼げたか
+
②物件価格が前年比どれだけ上がったか(または下がったか)
の合計を指します。
株式投資で言えば、配当金(NOI)+株価の上昇(価格上昇)=総合利益
というイメージです。
Cap Rate(キャップレート)とは?
キャップレートは、物件価格に対する賃料ネット収益“だけ”の利回り のこと。
Total Return は「投資全体の成績表」で、Cap Rate は「今買ったら何%回る物件か」を判断する指標。
✨つまり…
- 買うとき → Cap Rate
- 持った後の成果 → Total Return
を見ます。
この違いを知っていると、記事の理解が深まります。
キャップレートは低下=投資家需要は依然強い
キャップレートはセクターによって動きが分かれました:
- 取引ベース cap rate:5.63%(前期比 +13bps)
- REIT implied cap rate:5.23%(−5bps)
- NCREIF cap rate:4.94%(最も大きく低下)
特に Core / Core+(安定資産)のキャップレートが下がっていることは、
“優良マルチファミリー物件に投資マネーが集中している” ことを意味します。
🌎地域別リターン:圧倒的に強いのは「西海岸」と「サンベルトの一部」
最新の年間リターンを見ると、トップ市場は 西海岸(West Coast)と、一部のサンベルト(Sun Belt) が独占しました。
🥇【西海岸トップ】サンノゼ(9.3%)
- テック需要が堅調
- 供給制約+空室率の低さ
🥈オレンジカウンティ(8.5%)
- 安定した需要
- 長期投資に理想的な市場
🥉サンディエゴ(8.1%)
- 人口増加+低空室率で強いリターン
その他西海岸:
- シアトル:7.9%(テック復活)
- サンフランシスコ:7.5%(回復基調)
- リバーサイド:7.2%(LAの代替市場)
⚠️規制や需要低下で伸び悩む都市
- ポートランド:4.9%(規制強化の影響)
- オークランド:4.8%
- ロサンゼルス:4.5%(家賃規制が重し)
LAでは RSO や新規規制で、歴史的に高かったリターンが低下。
🌞サンベルト:強弱がハッキリ二極化
サンベルトは新築供給が多いため、
都市ごとの成績差が大きくなりました。
🔺強いサンベルト
- ヒューストン:9.0%(全米2位)
- マイアミ:8.4%(人口流入が追い風)
- ウェストパームビーチ:7.3%
- オーランド:6.7%(雇用成長)
- タンパ:6.5%
- フォートローダーデール:6.2%
🔻弱いサンベルト(供給過多)
- ナッシュビル:6.1%
- シャーロット:5.7%
- デンバー:5.4%
- アトランタ:4.6%
- フェニックス:5.2%
- ダラス:5.9%
- ローリー:4.3%
- オースティン:2.0%(全米最低)
供給過多がダイレクトに Total Return を押し下げています。
🧭中西部・北東部:堅実だがトップには届かず
- サバーバン・メリーランド:8.7%(DC郊外)
- ワシントンDC:7.7%
- ボストン:7.0%
- ニューヨーク:6.3%
- シカゴ:堅実
- ミネアポリス:4.1%
💬投資家へのポイント
今回のデータから読み取れるポイントは以下:
✔ マルチファミリーは依然として“最強セクター”
金利高環境でも Total Return が高く安定。
✔ 投資マネーは「Core/Core+」へ集中
キャップレート低下=優良物件の奪い合い。
✔ 市場は完全に“二極化”
- 供給過多 → リターン急落(オースティンなど)
- 供給制限 → 高リターン維持(OC/SD/SJ)
- 人口流入 → 高リターン継続(フロリダ)
✔ 投資家へすすめる市場
- 西海岸(OC / SD / SJ)
- フロリダ南部(Miami / West Palm Beach)
- DC郊外(Suburban Maryland)
一方で、オースティン・フェニックス・シャーロット・アトランタは供給リスクの見極めが重要 です。