Goldman Sachsが、米国不動産市場の中でも安定収入を重視する「ネットリース」分野へ本格的に動き出しました。
同社は2026年8月18日、ニューヨークを拠点とする不動産投資会社LCN Capital Partnersを、最大4億1,000万ドルで買収する契約を締結したと発表しました。
買収時に約2億6,000万ドルを支払い、将来の業績などに応じて最大1億5,000万ドルを追加します。買収代金の約80%はGoldman Sachsの株式で支払われ、取引完了は2026年末までを予定しています。
LCNは2011年設立で、セール・リースバック、ビルド・トゥ・スーツ、トリプルネットリースを専門としています。2026年6月末時点の運用資産は約30億ドル。これまで10本の投資ファンドを組成し、北米と欧州で投資してきました。
セール・リースバックとは、企業が所有する工場、物流施設、オフィスなどを投資家へ売却し、そのままテナントとして長期利用を続ける仕組みです。企業は不動産を現金化でき、投資家は長期の賃料収入を得られます。
トリプルネットリースでは、通常の賃料に加えて、固定資産税、保険料、建物維持費の多くをテナントが負担します。そのため、物件所有者の管理負担と費用変動リスクを抑えやすいことが特徴です。
今回の買収が示しているのは、機関投資家が単に不動産価格の値上がりを狙うのではなく、「企業の信用力を背景とした長期賃料収入」を重視していることです。
Goldman Sachsは、保険会社、年金基金、富裕層向けに、安定した収益を生む商品を増やそうとしています。
日本の投資家が米国のネットリース物件を検討する場合も、表面Cap Rateだけで判断するのは危険です。テナントの信用力、保証会社、残存契約期間、賃料上昇条項、中途解約条件、建物の再利用可能性を確認する必要があります。
特に専用工場や特殊施設は、テナント退去後の再募集が難しい場合があります。「誰が借りているか」に加えて、「退去した後に誰が使えるか」という出口戦略が重要です。
世界的な金融機関がネットリース市場へ投資基盤を広げることで、優良テナント付き物件の取得競争は今後さらに強まりそうです。