トランプ大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏がパートナーを務める投資会社が、米国南部の「サンベルト」に大規模な不動産投資を行います。
BisnowとAxiosが2026年8月13日に報じたところによると、投資会社1789 Capitalは、12億ドル、1ドル160円換算で約1,920億円の不動産開発ファンドを組成しました。
このファンドが投資するプロジェクトの総事業規模は、将来的に80億ドル、約1兆2,800億円を超える見込みです。つまり、1789 Capitalが80億ドルを直接出資するという意味ではなく、借入金や共同投資家の資金などを組み合わせた開発総額とみられます。
主な投資地域は次の通りです。
- フロリダ州
- テキサス州
- テネシー州
- ジョージア州
- ノースカロライナ州
- サウスカロライナ州
投資対象は住宅だけではありません。住宅開発、街づくり、製造施設、データセンターなどを幅広く対象とします。
1789 Capitalは、フロリダ州の不動産会社Easton Streetと提携します。両社はすでに、ウエスト・パームビーチで地上26階建ての高級コンドミニアムを計画しています。
この計画では、各階を1戸で使用する「フルフロア住戸」と、約10,500平方フィート、約975㎡の会員制クラブが予定されています。富裕層の移住が続く南フロリダを象徴する開発です。
今回の投資戦略の背景にあるのは、コロナ禍以降に進んだ米国内の人口・企業移動です。
税負担や生活費が高いニューヨーク、カリフォルニアなどから、税制や事業環境で優位性を持つ南部の州へ、人材、企業、富が移動しています。1789 Capitalはこれを一時的な現象ではなく、米国人が「住む・働く・資産を築く場所」の構造的な変化と捉えています。
日本の投資家にとって注目すべきなのは、トランプ・ジュニア氏が関係していることだけではありません。巨額の投資資金が、住宅、製造施設、データセンターを一体的な成長分野として捉えている点です。
データセンターや先端製造工場が建設されれば、新たな雇用が生まれ、住宅、物流施設、商業施設の需要拡大につながります。一方で、大量の開発資金が特定の都市へ集中すると、住宅や物流施設が供給過剰になる可能性もあります。
したがって、「サンベルトだから将来性がある」と一括りにするのではなく、都市ごとの人口増加、雇用、建設中戸数、インフラ整備、水・電力の供給能力、保険料、固定資産税まで確認することが重要です。
また、トランプ氏一家の事業と政権との関係については、利益相反を懸念する意見も報じられています。投資案件としての収益性や成長性と、政治的な評価は分けて判断する必要があります。
今回の大型ファンドは、米国不動産の成長資金が引き続きサンベルトへ向かっていることを示しています。これから重要になるのは、「南部のどこを買うか」ではなく、実際に人口と雇用を長期的に吸収できる都市を選ぶことです。