― 景気減速懸念の中でも、需給は安定
2025年は景気不透明感や関税の影響を受け、米国のリテール(小売)不動産市場ではテナント需要がやや鈍化しました。
それでも、投資家の関心は2026年に向けて依然として強いという見方が主流です。
Marcus & Millichap の
チーフ・インテリジェンス&アナリティクス責任者であるジョン・チャン氏は次のように分析しています。
📉 需要は減速も、空室率は低水準を維持
・2025年は吸収面積(ネットアブソープション)が一時的にマイナス
・ただし、全米平均の空室率は約5%で安定
・その結果、賃料は前年比+1%と緩やかな上昇を維持
景気や関税への警戒感から、小売企業は新規出店を慎重に進めていますが、供給が極端に抑えられているため、需給バランスは崩れていません。
🏙️ 空室率4%未満の都市も多数
2025年末時点で、以下の都市では空室率が4%未満になる見通しです。
・シャーロット
・オースティン
・ボストン
・インディアナポリス
・マイアミ
・ミネアポリス・セントポール
・ニュージャージー北部
👉 地域によっては「貸し手市場」が継続しています。
🏬 ショッピングモールは二極化
・モール全体の空室率は9%超とやや高め
・ただし
- 食料品店などが核の「アンカー型」
- テナント分散の「非アンカー型」
この2タイプの空室率は、2020年以降は4.5〜4.7%程度で収れんしています。
また、2025年Q3までの12カ月間で完成した複数テナント型リテールは約1,000万SF
→ 2012年以来の低水準
🏗️ 建設は歴史的低水準へ
・2026年の新規リテール建設予定:約3,000万SF(過去最低水準)
・その70%以上が単一テナント物件
👉 供給制限が続くため、多少需要が弱くても空室率は低位安定しやすい構造です。
💳 消費者負債は本当に危険水域?
一部では、
・自動車ローン:1.7兆ドル
・クレジットカード債務:1.2兆ドル
・家計債務総額:18.5兆ドル
といった数字が警戒されています。
しかし、所得比で見ると状況は冷静です。
・自動車ローン:所得比 5.5%(10年平均5.9%以下)
・クレジットカード:4.1%(平均3.9%とほぼ同水準)
・延滞率も歴史的平均並み
・家計貯蓄(MMF含む):過去最高の25.4兆ドル
👉 消費者全体は“耐久力あり”という評価です。
💰 投資市場:キャップレートと取引動向
・リテールのキャップレート:約6.8%で安定
- 単一テナント:6%前後
- 複数テナント:7%前後
・リテール不動産の取引件数は
2014〜2019年平均比で+12%
👉 投資家の資金流入は継続中。
📌投資家への注目点
✔ リテール不動産は「衰退セクター」ではない
✔ 新規供給が極端に少ないため、既存物件の価値が守られやすい
✔ 単一テナント(NNN)と 立地の良いアンカー型SCは特に安定
✔ 2026年もインカム重視の投資先として有力
📊 結論
米国リテール不動産は、「派手な成長はないが、崩れにくいセクター」として2026年も投資家から選好される可能性が高い状況です。