稼働率低下が背景に、南部・西部は特に弱く、テック都市は再び上昇へ
アメリカのアパート市場(マルチファミリー)で、3ヶ月連続の家賃下落という大きな転換点が表れています。
RealPage の最新データによると、2025年10月時点の全米平均賃料は前年比 −0.7%となり、これは2021年3月以来の最大の下落幅です。
📉賃料下落の背景:稼働率がじわじわ低下中
賃料が下がり始めた最大の理由は、**全米アパート稼働率の低下(=空室増加)**にあります。
🔹全米アパート稼働率(10月)
- 94.9%(前月比 −20bps)
- 過去3ヶ月で −60bps
- ただし前年同月比では +10bps と、長期では安定感あり
供給の増加と季節的な動きにより、
オーナー側は新規入居を促すため賃料を調整している状況です。
🗺️南部(South)・西部(West)が全国の足を引っ張る
デンバー、オースティン、フェニックス、シャーロットなど“供給過多エリア”が弱い
賃料下落が特に大きかったのは以下の地域:
▽ 南部(South)
- 過去数年で大量の新築供給
- 2023年中盤以降、年間賃料成長がゼロ
- 競争激化で賃料調整が続く
▽ 西部(West)
- 10月は下落幅がさらに拡大
- 全米の賃料成長を押し下げる要因に
▽ 下落が続く都市
- デンバー(Denver)
- オースティン(Austin)
- フェニックス(Phoenix)
- シャーロット(Charlotte)
いずれも新築供給が非常に多い“サプライヘビー市場”。
🎢観光都市も弱含み
経済減速の早期サイン?
以下の観光依存都市も賃料下落が続いています:
- オーランド(Orlando)
- ナッシュビル(Nashville)
- ラスベガス(Las Vegas)
- タンパ(Tampa)(過去1年で −3%)
観光地が弱いのは、消費者が旅行など“支出”を控え始めている兆候とも言われています。
💻一方で「テック都市」は再び上昇
AIブームの影響で需要が回復、サンフランシスコ・サンノゼが復活
興味深いことに、テック系の雇用が強い沿岸都市が賃料を押し上げています。
▼ 賃料が大きく上昇した都市(前年比 +3〜7%)
- サンフランシスコ(San Francisco)
- サンノゼ(San Jose)
- ニューヨーク(New York City)
AI関連の産業成長が背景にあり、再び“住みたい街”として需要が戻っています。
▼ その他、賃料上昇が目立つ都市
- シカゴ(Chicago)
- ピッツバーグ(Pittsburgh)
- バージニアビーチ(Virginia Beach)
- ミネアポリス(Minneapolis)
地味ながら安定した雇用を背景に、しっかり賃料が伸びています。
💬投資家への示唆:市場は「地域ごとに二極化」
今回のデータから見えるのは、アメリカの賃貸市場が地域別にハッキリ二極化しているということです。
▼ 弱いエリア
- 南部(供給過多)
- 西部(調整局面)
- 観光依存都市(景気敏感)
▼ 強いエリア
- テック雇用が強い沿岸都市
- 産業の多様性がある大都市
- 中西部の安定市場
アメリカ不動産、とくにマルチファミリーは「全国平均」よりも**“都市ごとの需給バランス”が重要**。
今回の賃料下落は、投資家にとって「どこを避けるべきか・どこを狙うべきか」のヒントになります。