~中堅ホテルチェーンでRevPAR(客室収益)低迷~
アメリカのホテル業界が再び難局を迎えています。
政府の航空便削減や消費者の節約志向、海外旅行者の減少などが重なり、特に中堅ホテルチェーンを中心に業績が鈍化しています。
💸 中間層向けホテルに打撃、RevPARが下落
2025年のホテル市場では、上位ブランドを除く多くのホテルで客室稼働率(RevPAR)が横ばいまたは減少。
不動産分析会社 CoStar によると、2025年1~9月の平均RevPARは前年比ほぼ横ばいで、**客室単価の上昇はわずか0.9%**にとどまりました。
「物価が上がる中で宿泊料金の上昇が追いつかない。
これは業界全体にとって懸念すべきことです」
— CoStar ホスピタリティ分析部門長 Jan Freitag
📉 主なホテルチェーンの業績(第3四半期)
| 企業名 | 主なセグメント | RevPAR変化率 |
|---|---|---|
| Wyndham Hotels & Resorts | エコノミー/ミッドスケール | -5.0% |
| Choice Hotels | ミッドスケール中心 | -3.2% |
| Marriott International | 北米市場 | -0.4% |
| Hyatt Hotels | 全体 | +0.3% |
特に政府関連出張やカナダからの旅行客が減少し、中価格帯ホテルの落ち込みが顕著です。Choice HotelsのCFOスコット・オークスミス氏は、「政府・海外旅行の減少が業績に大きく影響している」と説明。
✈️ 航空便削減と政府閉鎖の影響
10月以降の**政府閉鎖(ガバメントシャットダウン)**で、連邦航空局(FAA)が全米40空港の便を10%削減。
これにより、出張やレジャー旅行のキャンセルが急増しました。また、政府職員の出張宿泊が15〜20%減少。マリオットやチョイスホテルなど、中堅ホテルチェーンの業績を押し下げました。
💼 景気不安で「旅行は後回し」傾向に
消費者心理の悪化も顕著です。
**コンシューマー・コンフィデンス・インデックス(CCI)**は3カ月連続で低下。
「レジャー旅行は“裁量支出”の代表。
食費や保険料、家賃が上がる中で旅行費用を削る人が増えている」
— CoStarのFreitag氏
米商務省によると、米GDPは第2四半期に3.8%成長しましたが、これまで30年間続いた「景気拡大=宿泊需要増加」の相関が崩れたと指摘されています。
🌍 海外旅行者の減少も痛手
米国旅行協会(U.S. Travel Association)によると、2025年の海外からの渡航者数は前年比6.3%減少見込み。支出額も3.2%減る見通しです。
特にカナダからの訪問客は30%減とされ、中堅ホテルのRevPAR低下につながっています。
🏦 借入金返済が迫るホテル企業
モーゲージ・バンカーズ協会によると、2025年中にホテル・モーテル向けローンの35%が満期を迎える見通し。
さらに今後2年間で480億ドル(約7.3兆円)のCMBSローンが償還期を迎えます。
資金繰り改善のため、各社は資産売却による債務削減を進めています。
- 🏨 Ashford Hospitality Trust:3物件を5,000万ドルで売却、さらに8物件を売却予定
- 🏨 Park Hotels & Resorts:非中核資産を3~4億ドル売却目標
- 🏨 Service Properties Trust:3物件を売却、債務返済に充当
🌤️ 過剰供給がない点は“数少ない救い”
供給面では新規開発が抑えられており、客室数が大幅に増えていないことが業界の支えになっています。
「供給過多ではないことが、唯一の救いです」— CoStar Freitag氏
ホテル各社は今後、金利引き下げによる借入コストの軽減に期待を寄せています。
「金利が0.25%下がるごとに、年間600万ドルの利息が削減される」— Ashford CEO スティーブン・ジグ