アメリカの大学都市で、留学生の減少による地域経済への打撃が深刻化しています。
特に中西部オハイオ州オックスフォードにあるマイアミ大学(Miami University)では、
2018年に3,000人を超えていた留学生が、現在では860人まで激減(前年比−22%)。
オックスフォード市の経済開発担当者セス・クロペンベイカー氏は、
「特に中国からの留学生の減少は衝撃的だ」
と語っています。
💸 留学生減少がもたらす経済的影響
留学生は、全米で**年間440億ドル(約6.6兆円)**を経済に貢献しており、
住宅・小売・外食・物流など多岐にわたる業界を支えてきました。
オックスフォードでは、留学生が開業したレストランや食料品店が
地域経済を活性化していましたが、今では多くの店舗が閉店。
「顧客の大半が留学生だったため、今はもう店を続けられない」と
クロペンベイカー氏は語ります。
🏛️ 政策変更も拍車をかける
2025年9月、トランプ政権はH-1B就労ビザの手数料を最大10万ドル(約1,510万円)に引き上げ。
これはアメリカの大学が留学生を呼び込むための大きな魅力であった
「卒業後の就職機会」を奪う形となっています。
さらに、2025年5月時点でF-1(学生)ビザの発給数が前年比−22%、
**J-1(研究・教育)ビザも−13%**と大幅減少。
世界的なリサーチ会社Oxford Economicsによれば、
合法移民の純流入数は前年より70万人減少し、
今後の留学生流入にも大きな影響を与えると見られています。
🏘️ 不動産市場にも波及
留学生の減少は、大学周辺の住宅・商業不動産市場にも影響を及ぼしています。
ボストンでは、留学生が集中する**ノースイースタン大学(Northeastern University)周辺で
空室率が急上昇。
ミッションヒル地区では空室率3.3%(前年比+79.8%)**と、
通常の学生シーズンには考えられない高さを記録しました。
BostonPadsのCEOデメトリオス・サルポグロウ氏は、
「今年は9月時点でも多くの物件が空いたままだった。大家たちはかなり不安を感じている」
と語っています。
🏫 小規模大学は経営危機も
JLLの教育・非営利部門責任者デヴィッド・カルロス氏によると、
特に小規模なリベラルアーツ系大学が打撃を受けており、
一部ではカリキュラム削減・職員カット・不動産売却などが進行中。
実際、ニューヨーク州では閉校したセントローズ大学のキャンパスを
郡政府系機関が3,500万ドル(約53億円)で買収し、再開発に着手しています。
🏗️ 大手投資家は依然強気
一方、学生住宅に特化した投資会社は依然として強気姿勢を維持しています。
- Harrison Street:全米で419棟(22.8万ベッド)を保有、
うち留学生比率は約5%のみ。 - Blackstone傘下のAmerican Campus Communities:
2028年までに**24.5億ドル(約3,700億円)**規模の新規開発を進行中。
同社開発責任者ジェイミー・ウィルヘルム氏は、
「大学側も国内学生のリクルートとリテンション(定着)を強化し始めている」
とコメントしています。
🌏 今後の展望
アメリカの大学街はこれまで、
「留学生=地域経済の担い手」として繁栄してきました。
しかし今後、
- ビザ政策の厳格化
- 移民数の減少
- 地方大学の財政難
が重なることで、地方都市の不動産市場にも構造的な影響が広がる可能性があります。