アメリカの住宅市場では、住宅ローン金利が低下傾向にあるにもかかわらず、購入意欲が依然として低迷しています。
Fannie Mae(ファニーメイ)が発表した住宅購入意欲指数(Home Purchase Sentiment Index)によると、2025年9月の指数は71.4と、前月から横ばい・前年同月比で2.5ポイント低下しました。
💬 「今は買い時ではない」が73%
調査では、
- 73%の回答者が「今は買い時ではない」
- 27%が「買い時だ」
と回答しました。
一方で、「売り時だ」と答えた人は57%と、販売側の意欲は引き続き高い水準を保っています。
📉 住宅ローン金利は下がるも、依然高水準
30年固定住宅ローンの平均金利は9月時点で6.35%(8月の6.59%から低下)となり、
1年ぶりの低水準を記録しました(Freddie Mac調べ)。
それでも、
- 依然として6%以上の高金利が続くこと
- 住宅価格が過去最高水準を維持していること
が、購入意欲の回復を妨げています。
Realtor.comのエコノミスト、ジアイ・シュー氏は次のように述べています。
「金利が下がっても、価格が高すぎて多くの人にとって住宅購入は依然として手が届かない。さらに、所得や雇用の安定が見られない限り、購買意欲の回復は難しい。」
📊 ファニーメイの金利予測
ファニーメイのエコノミストは、
- 2025年末の住宅ローン金利を6.4%程度
- 2026年末には5.9%まで低下
と予測しています。
🏡 住宅価格は依然として上昇傾向
2025年8月の既存住宅の全国中央値は42万2,600ドル(約6,377万円/1ドル=151円)で、前年同月比+2%上昇。
新築住宅の中央値も**41万3,500ドル(約6,243万円)**と高水準にあります。
調査では、
- 40%が「今後1年間で価格はさらに上がる」と予測
- 22%が「下がる」と回答
しており、依然として価格上昇を見込む声が優勢です。
🏘️ 一部市場では価格軟化も
Case-Shiller住宅価格指数によると、
南部および西部の7都市では一戸建て価格が前年割れ。
また、Realtor.comのレポートでは、9月に販売中の住宅の約20%が価格を引き下げており、特に35万〜50万ドル(約5,285万〜7,550万円)帯の住宅で値下げが目立っています。
💼 雇用・所得面の不安も影響
9月調査では、
- 75%が「今後1年間で職を失う心配はない」
- 14%が「所得が上がる」と回答
一方で、25%が「雇用に不安を感じる」と回答しており、金利や価格だけでなく、景気不透明感も購買心理を冷やす要因となっています。
✨ まとめ
- 「買い時ではない」と感じる人:73%
- 「売り時だ」と感じる人:57%
- 住宅ローン金利:6.35%(依然高水準)
- 住宅価格:前年より上昇中
金利が下がっても、所得や価格バランスの改善が伴わなければ購買意欲は戻らないというのが現実です。
アメリカの住宅市場は、金利よりも「所得」と「雇用の安定」が次のカギとなりそうです。