〜60年の歴史に幕、アメリカ薬局業界の再編が加速〜
アメリカの老舗ドラッグストアチェーン「Rite Aid(ライトエイド)」が、残る全89店舗を閉鎖し、60年以上続いた歴史に幕を下ろしました。
フィラデルフィアを拠点とする同社は、2025年5月に2度目の破産申請を行い、その後すべての店舗を閉鎖する再建計画を発表。
これでライトエイドの名前は、全米の街から姿を消すことになります。
🏥 全盛期は5,000店舗、しかし訴訟と債務に追われ破綻へ
ライトエイドは1962年創業。
ピーク時には全米で5,000店舗以上を展開していましたが、2023年10月の最初の破産時には約2,300店舗まで減少。
その背景には、
- 33億ドル(約4,950億円/1ドル=150円)の巨額債務
- オピオイド危機に関連する1,000件以上の訴訟
- があり、経営を圧迫していました。
2025年5月の2度目の破産時点では、店舗数は約1,200店にまで縮小。
当時のCEOマット・シュローダー氏は買収先を模索していましたが、再建計画では全店舗と倉庫の売却・閉鎖が盛り込まれていたことが明らかになりました。
📉 米薬局業界全体にも構造的な変化
実はライトエイドだけでなく、アメリカの薬局業界全体が縮小傾向にあります。
2010年〜2020年の10年間に存在した約8万9,000軒の薬局のうち、30%が2021年までに閉店したと報告されています(Health Affairs誌調査)。
さらに、業界上位2社であるCVSとWalgreensも再編を進めています。
- Walgreens:今後3年間で1,200店舗閉鎖予定
- CVS:2022〜2024年に900店舗閉鎖、さらに2025年中に271店舗閉鎖予定
大手各社は、オンライン処方・デジタル薬局・ヘルスケア統合ビジネスへの転換を進めており、従来型のドラッグストアモデルは転換期を迎えています。
💬 経済の現場から
FTIコンサルティングによると、薬局業界は今後も「店舗の縮小+デジタル化」の流れが続くと予測されています。
薬局店舗は地域インフラとしての役割も大きく、地方や低所得地域では医療アクセスの悪化が懸念されています。
✨ まとめ
ライトエイドの全店閉鎖は、アメリカ小売と医療サービスの転換点を象徴する出来事です。オンライン処方・配送・テレメディスンが進化する一方で、「地域密着型の薬局」は次第に姿を消しつつあります。