アメリカの建設業界では、深刻な人手不足に加え、移民労働者への取り締まりが強化され、現場に大きな影響が出始めています。
最新調査(全米建設業協会と建設教育研究センター)によると、全米ゼネコンの35%超が直接または間接的に影響を受けたと回答しました。
🚨 現場での実際の影響
- 5%:現場が移民局の査察を受けた
- 10%:労働者が拘束・送還を恐れ離職
- 20%:下請けの労働力喪失で影響
AGC(全米建設業協会)のチーフエコノミストは「建設現場は固定された場所で長期にわたり稼働するため、取り締まりの“標的”になりやすい」と指摘。
💡 背景にトランプ政権の大規模移民政策
2025年夏にトランプ大統領が署名した「One Big Beautiful Bill Act」により、
- 移民・国境警備予算 1,700億ドル
- 移民・関税執行庁(ICE)新規予算 750億ドル
が投入され、過去最大規模の取り締まりが進行中です。
その結果、1日平均1,500人が拘束・送還される事態に。
👷 建設業界の人手不足はさらに悪化
- 建設業界全体の労働力不足:約 45万人
- 移民労働者比率:15〜23%(Skanska報告書)
調査では 92%のゼネコンが必要な人材を確保できていない と回答。
職業訓練や教育投資で補う動きはあるものの、「数年かかる」との見方が強く、即効性に欠けます。
📍 州別で最も影響が大きいのはジョージア州
- 75%のゼネコンが影響を受けた と回答
- サンベルト地域(南部州)を中心に、人口構成上の理由から影響が拡大
🏛️ 業界団体の要望
AGCは次の政策を提言:
- 建設業専用の一時労働ビザ制度 の創設
- 国内に既に滞在する移民への合法的就労経路の確保(TPS、亡命申請者、無許可移民を含む)
AGCは9月からホワイトハウスや労働省へ向けてデジタルキャンペーンを展開予定です。
✍️ まとめ
米建設業界は「労働力不足 × 移民取り締まり強化」という二重苦に直面。
現場では既に離職や作業停止のリスクが広がっており、建設コスト上昇や納期遅延にもつながる懸念があります。
業界は「合法的な労働経路の整備」を求めていますが、トランプ政権の強硬姿勢のもと、解決には時間がかかりそうです。