2025年、米国の商業用不動産市場が「世代交代的なリセット(Generational Reset)」に突入すると、世界的な不動産会社Cushman & Wakefieldが最新のレポートで発表しました。
これは、歴史的な価格下落を受けて、創造的かつ選択的に動ける投資家にとっては稀有なチャンスが生まれていることを意味します。
🏛 パンデミック後の急騰とその反動
パンデミック初期、各国の中央銀行がゼロ金利と大規模な金融支援策を打ち出したことで、債券などの伝統的な投資先の魅力が薄れ、資金は商業用不動産へと殺到しました。
その結果、不動産価格は急騰。しかし2022年中頃以降、金利上昇により流入資金が減少し、価格はピークから13〜21%も下落しました。これは過去30年で90年代初頭の不動産バブル崩壊やリーマンショック後の金融危機に次ぐ大幅な調整です。
📉 “価格下落”の裏に次の上昇サイクルの種
過去の暴落後はいずれも、7〜10年にわたる力強い価格回復が起きています。供給が一時的に止まり、既存物件の競争力が増すことで価格は反発する傾向にあります。
現在もその兆しが見え始めており、Cushman & Wakefieldは「中長期視点で冷静に投資戦略を立てることが重要」と述べています。
🏗 供給抑制=既存物件に追い風
米労働統計局によると、建設コストは2019年6月から2025年6月までで43%上昇。新築の採算が取りづらくなっており、結果的に「既存物件が新築より割安」という状況が生まれています。
これは、今後の資産価値回復を支える要因となる可能性が高く、既存ビルをリノベーションして再利用する流れにも追い風となっています。
🏢 回復はセクターごとに差:注目はオフィスと集合住宅
業種別に見ると、インダストリアル(物流施設)セクターは既に回復傾向にあります。一方、集合住宅(マルチファミリー)やオフィス、リテールはまだ低調。ただし、Cushman & Wakefieldは**「コア」「コアプラス」の優良物件**(堅調なテナント、長期リース契約がある物件)への投資は今後注目度が上がるとしています。
💰 利回りは地味でも「安定的成長」を重視する時代へ
金利が高止まりする中で、不動産利回りと国債や社債などの金利差(スプレッド)は圧縮されており、**「派手な利回りよりも長期的な安定収益を重視する投資」**への移行が求められています。
🧩 投資ファンドも再戦略を模索中
機関投資家によるポートフォリオの再構成や戦略見直しも始まっており、今後はより積極的な運用スタイルが主流になる見込みです。
🔍 価格調整は「長期的な上昇局面」への布石か?
2025年の米国商業用不動産市場は、「待ちの投資」から「選択的な攻めの投資」への転換点にあります。過去の暴落後と同様に、大きな上昇サイクルへの序章となる可能性が高く、今後の展開に注目です。