ニューヨーク市は、2025年6月11日より施行される**FARE法(Fairness in Apartment Rental Expenses Act)**により、借主(テナント)が支払う仲介手数料を原則禁止します。この新制度により、不動産仲介のコスト構造が大きく転換する見通しです
🔍 主なポイント
- 施行日:2025年6月11日から
- 対象:貸主が雇った仲介業者の費用を借主に転嫁する行為を禁止
- 例外:借主が自ら仲介業者を雇った場合は借主負担が可能 。
- 罰則:違反者は最大2,000ドルの罰金および消費者局からの行政処分の対象に 。
🏛 背景と施行に至る経緯
- FARE法可決:2024年11月、市議会で賛成42対反対8で可決され同年12月に成立
- 訴訟の状況:不動産業界団体(REBNYなど)が提訴したが、連邦判事Ronnie Abrams氏が2025年6月10日に訴訟停止を却下し、施行にGOサイン
💰 利害が分かれる評価
🎉 借主への恩恵
- 初期費用は従来の仲介手数料(年間賃料の12~15%)を支払う必要がなくなり、大幅な費用削減に。
- StreetEasyなどの調査では、移転時の手数料等含む初期費用は平均12,942ドル → 法施行後は平均7,537ドルに下降し41.8%削減と分析
- 家賃の透明性が上がり、低所得層の転居機会拡大が見込まれます 。
⚠️ 借主以外への影響
- 貸主と仲介業者からは反発の声。仲介手数料を家賃に上乗せし、長期的には借主負担となる可能性を懸念 。
- 事実、施行直後に一部で家賃が**数百ドル単位で急上昇(例:Park Slopeでは月495ドル)**したと報告 。
- 仲介業者側では、利益率の低下がサービス品質低下や離職増につながる可能性を指摘 。
⚖️ 今後の見通しと焦点
- 初期費用負担軽減は借主にとって歓迎されている反面、「費用が家賃に転嫁される構造」により長期的には費用削減が相殺される可能性が注目されます 。
- 違反行為の監視体制(DCWPによるリスト監視・311通報)と制度理解促進が重要
- 法改正が全米都市への広がりにつながるか、またボストンなど他都市への波及も視野に 。
✅ 投資家/不動産担当者への示唆
- 短期的:借主への初期費用減で市場流動性が高まり、物件需要の増加が期待。
- 中長期的:家賃値上げが進む可能性あり → 賃料推移と契約更新動向を注視。
- 貸主および仲介元は家賃設定・手数料モデルの見直しや、マーケティング体制の再構築が重要。
新制度の実効性と、市場構造への影響を見極めるには、家賃動向・物件掲載数・違反報告の推移に注視する必要があります。