不動産投資市場の現状:供給過多と長期化する取引サイクル
現在の不動産投資市場における明確な減速と、供給が需要を大きく上回る「買い手市場」へのシフトです。
不動産投資アドバイザーのダニエル・E・ヘロルド氏が公開した月次データによると、2023年初頭から約18ヶ月にわたる18の主要テナントの売上比較分析から、市場の減速と需要と供給の不均衡が浮き彫りになっています。
【市場の現状】 現在、市場には新規のネットリース物件が991件、総額35億ドル相当の在庫が存在しています。これに対し、月間の成約件数は平均約69件にとどまっています。このペースでは、現在の在庫を消化するまでに約14ヶ月を要すると推測され、2021年の平均30〜45日と比較すると、市場の長期化が顕著です。特に、ダラーツリー、7-Brew、ハートランドデンタルといったブランドは在庫が多く、バックログ(在庫を売り切るのにかかる期間)が長くなっています。
また、物件が市場に滞留する日数(Days on Market、DOM)も平均183日(約6ヶ月)と、一般的なリスティング契約期間を超える長さになっており、買い手を見つけるのに時間がかかっている実態を示しています。
【市場を乗り切るための戦略】 ヘロルド氏は、このような状況下でも取引を成功させるためには、より戦略的で忍耐強いアプローチが必要だと提言しています。
- クリエイティブなマーケティング: 従来のEメール配信だけでなく、ソーシャルメディアの活用やターゲットを絞ったアプローチが重要です。
- 1031交換購入者への対応: 潜在的な買い手を逃さないための迅速な対応が求められます。
- 積極的な価格調整: 最新の市場データに基づき、価格や戦略を積極的に見直し、市場に後れを取らないことが不可欠です。
- 忍耐と信頼: 取引サイクルは長くなっているため、ブローカーのプロセスを信頼し、辛抱強く取り組む必要があります。
- 柔軟な交渉: 買い手市場であることを認識し、交渉において柔軟な姿勢を持つことが成功の鍵となります。
- 物件の差別化: 似たような物件が多い中で、それぞれの物件のユニークな点を際立たせる工夫が必要です。
現在の不動産投資市場は、投資家にとって挑戦的な局面を迎えていますが、データに基づいた戦略的なアプローチと柔軟な対応が、この市場で機会を見出すための重要な要素となります。