米国カジノ運営大手のREIT「Wynn Resorts(ウィン・リゾーツ)」は、総額3億7500万ドル(約580億円)の設備投資を一時的に保留する方針を発表しました。理由は、トランプ政権による対中および輸入品全般への高関税政策によるコスト上昇懸念です。
📉 設備投資の延期内容
WynnのCEOであるクレイグ・ビリングス氏によれば、今回の延期対象にはラスベガスのEncore Tower(アンコール・タワー)の大規模リモデル工事が含まれています。
– Encore Towerは約2,000室を擁する高級タワーで、今回の改修予算は2億ドル超
– その他の延期対象プロジェクトの詳細は非公開
– 「関税水準が落ち着いた後に再開する予定」との発言あり
🏗️ 関税の影響と市場背景
トランプ政権は2025年に入ってから、以下のような関税強化を実施:
– 中国からの輸入品に対して145%の高関税
– その他ほとんどの国からの輸入品に対して10%
– 鉄鋼とアルミニウムに対して25%
これにより、建材価格が高騰し、工事コストが不確実な状況となっており、Wynn Resortsは「資源配分の見直し」を余儀なくされています。
📊 業績への影響
– 第1四半期の1株当たり利益は1.07ドル(市場予想の1.22ドルを下回る)
– 売上高は17億ドル(前年同期比で8.7%減、予想より1.5%少ない)
🌍 Wynnの資産概要と今後の注目点
Wynn Resortsは現在:
– ラスベガスに2棟の高級カジノホテル
– マサチューセッツ州ボストンに1棟
– マカオ(中国)に2棟
– UAE・アルマルジャン島に新リゾートを建設中(2027年完成予定)
設備投資の延期が、ラスベガスの観光・不動産投資やリノベーション市場に影響を与える可能性もあります。
今回の設備投資の延期は、国際関係・関税政策が不動産や観光インフラ投資にも大きな影響を及ぼすことを示す象徴的な事例です。
特に米国不動産やホテル・観光市場に関心のある投資家にとっては、政策リスクと資材価格の動向を注視する必要がある局面です。