米国のコワーキング市場が急速に拡大しています。
■ 全米で加速する「柔軟な働き方」の拡大
WeWorkなどのデータに基づく最新のレポートによると、アメリカのコワーキング市場は現在、非常に力強い成長を見せています。
- 17%増: 全米のコワーキングスペースの施設数は前年比で約1,300カ所増加し、合計9,136カ所に到達しました。
- 1億6400万平方フィート: 総面積は2025年の1億4100万平方フィートから大きく拡大しています。
- チーム規模が50%以上拡大: 2023年以降に活動しているスタートアップの96%がスペースを維持または拡大しており、平均チーム規模は50%以上も成長しています。
企業はまだ長期のオフィス賃貸契約(リース)には慎重なものの、確実に人員とスペースを拡大させており、これが将来の「本格的なオフィス需要」の強力なパイプライン(予備軍)となっています。
■ データが示す「成長都市」とそれぞれの産業トレンド
コワーキングスペースがどこで増えているかを見ると、アメリカの現在の産業構造と今後の成長エリアがくっきりと浮かび上がります。
1. ニューヨーク(圧倒的な最大規模)
1,800万平方フィート(施設数753)を誇る全米最大の市場。直近1年で180万平方フィート、69施設を追加しました。ウォール街に近い強みを活かした「フィンテック企業」の需要が底堅く、初期のインキュベーション施設としてだけでなく、大企業のサテライトオフィスとしても成熟しています。
2. サンフランシスコ(AIブームの震源地)
面積は前年比14%増の500万平方フィート。ベンチャーキャピタルと「人工知能(AI)」産業の圧倒的な集積地です。急速かつ予測不能なスピードでスケールするAI企業にとって、柔軟なコワーキングスペースは必要不可欠となっており、ハイエンドなスペース需要が継続しています。
3. ロサンゼルス(不況に強い多角化市場)
約140万平方フィートを追加し、総面積は約1,000万平方フィートに。エンターテインメント・テクノロジー、航空宇宙、ヘルスケア、クリーンエネルギーなど多様な産業が牽引しており、特定の業種に依存しない「経済の波に強い(レジリエンスのある)」市場として家主(ランドロード)から高く評価されています。
4. ボストン(バイオ・ライフサイエンスのハブ)
前年比15%増の約600万平方フィート。世界最大のバイオテクノロジーの中心地として、将来的に「本格的な研究施設(ラボ)」へと移行する前段階のスタートアップたちが、コワーキングスペースを強力に吸収しています。
5. フィラデルフィア(トップ10で最速の成長率)
トップ10都市の中で最も速い前年比28%増(43施設追加)を記録しました。スタートアップのエコシステムが現在まさに急拡大している「初期段階の爆発力」を示しています。
(※その他、成熟したシアトルやワシントンD.C.が安定成長を続ける一方、低コストと人材を武器にするオースティンが17%増、ミッドウェストのシカゴが19%増と躍進しています。さらに、ダラス・フォートワース、デンバー、ソルトレイクシティ、ヒューストンが「次の波」として注目されています。)
■ 投資家にとっての「真の示唆(インプリケーション)」
不動産投資家がこのニュースから読み取るべき最大のポイントは、「コワーキングスペースの需要は、波及効果(リップル・エフェクト)の第一段階に過ぎない」ということです。
シェアオフィスで育ったスタートアップが本格的なオフィスビルへ移転すれば、そこに多くの従業員が集まります。すると、その周辺エリアには必然的に「新しい小売店・飲食店(リテール)」や「従業員が住むための住宅(マルチファミリー)」の需要が生まれます。
つまり、コワーキングデータは「数年後にどの街の不動産需要が長期的に盛り上がるか」を教えてくれる有益なプレビュー(予告編)なのです。
Axis Globalでは、単なる物件価格の上下だけでなく、こうした産業の動きや企業の事務所面積を示す最先端のデータを分析し、投資家の皆様へ価値ある情報をお届けしてまいります。
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