住宅ローン金利の高止まりで価格上昇ペースは再び鈍化
~S&P Case-Shiller 2025年9月データ~
アメリカの住宅価格が再び減速しています。
S&P Case-Shiller Index(20大都市圏)によると、2025年9月の住宅価格は前年比+1.3% と伸びは弱く、2023年半ば以降で最も低い上昇率 に。
さらに注目すべきは…
20大都市のうち11都市(過半数)で住宅価格が“前年比マイナス”に転落
という点です。
📉南部・西部の主要都市で下落が顕著
最も下がったのはタンパとフェニックス
Case-Shiller のデータによると、住宅価格が下落した11都市はすべて 南部(South)と西部(West) に集中。
とくに下落幅が大きかったのは:
- タンパ(Tampa):−4.14%
- フェニックス(Phoenix):−2.02%
ここ数年、人口流入で急騰していた都市が、金利高と供給増により調整局面へ入っています。
🏙️ 一方、上昇が続く都市も
シカゴが首位、NYも依然強い
価格が上昇した都市の中では:
- シカゴ:+5.45%(都市別で全米1位)
- ニューヨーク:+5.25%
ニューヨークは数カ月連続で全米トップでしたが、今回はシカゴがわずかに上回りました。
📉すべての都市で「前月比マイナス」
需要減と金利高のダブルパンチ
今回のデータが示す最も大きなポイントは、
➡ 全20都市で「前月比マイナス」
➡ 全国的に需要減が広がっている
という点。
S&Pのアナリストは、
「住宅市場の減速がさらに加速している」
「高金利と低い手頃感(affordability)が市場の重石」
と分析しています。
🏦住宅ローン金利は少し下がったが…
価格が高すぎて購買力が回復しない
- 9月の平均金利:6.35%
- 現在:6.3%割れ(1年ぶり)
金利は少し改善しているものの、住宅価格が所得に対して依然高すぎる ため、需要は限定的。
既存住宅販売は4カ月連続で上昇したものの、依然として歴史的に低い水準です。
📊住宅価格の実質ベース(インフレ調整後)は“マイナス”
- 住宅価格:+1.3%
- 消費者物価指数(CPI):+3.0%
➡ インフレには追いつかず「実質マイナス」へ
これは買い手にとってわずかに追い風となる一方、市場全体としては「価格上昇力が弱まっている」 ことを意味します。
🏡最も下落が続くタンパでも…
それでも5年間で+55%高い
興味深いのは、価格が最も落ち込んでいるタンパでさえ、
➡ 過去5年で+55%という超ハイペースで上昇済み
という点。
つまり、短期的に調整しているだけで、長期で見ると依然“高値圏” です。
🧭まとめ:アメリカ住宅市場は「地域格差」と「調整局面」が鮮明
今回のデータから見えるポイントは:
✔ 全米の価格上昇はほぼ停止 → +1.3%のわずかな伸び
✔ 南部・西部は価格下落が拡大
✔ しかしシカゴ・NYなど北部都市は依然強い
✔ 実質価格はマイナス → わずかに買い手有利
✔ ただし長期では依然高値圏(タンパは5年で+55%)
アメリカ住宅市場は “高金利 × 高価格 × 手頃感の低下”という3つの壁によって、今後もしばらく 緩やかな調整局面 が続きそうです。