アメリカ・カリフォルニア州では、ファストフード労働者の最低賃金を時給20ドル(約3,120円/1ドル156円換算)とする法律が施行され、1年半ほどが経過しました。
そして今、現職のドナルド・トランプ大統領はこの賃金政策について
「ニューサム知事は最低賃金に“攻撃”を仕掛けている」
と強く批判。
しかし、実際に起きている状況は政治的主張よりもはるかに複雑です。
📊「店が潰れる」は現実にならず 離職率は低下、店舗数はむしろ増加
研究データや統計によると、
- 離職率(辞める人)は低下
- 大量閉店は起きていない
- むしろ店舗数は増加
具体的には、
📌 2024年Q1〜2025年Q1で 約2,300店舗増(+5%)
→ 全米平均(+2%)より高い伸び
つまり、
✔ 「時給20ドルでファストフード壊滅」は起きていない。
✔ 業界全体としては、むしろ成長している。
⚠️ ただしビジネス側は“痛み”も大きい
売上減・利益圧迫・値上げの限界
フランチャイジー(店舗オーナー)は大きく影響を受けています。
■ 飲食店にとって最大コスト=人件費
- 通常、人件費は売上の約30%
- それが「20ドル最低賃金」で大幅アップ
それに加え、
- 保険料の高騰
- 牛肉など食材価格の上昇
- 客の外食離れ
これらが重なり、収益が圧迫される構造になっています。
値上げも限界
- マクドナルド:10%未満の値上げ
- タコベル等:10〜12%の値上げ
しかし、低所得層が多いファストフードでは、これ以上の値上げは客離れにつながるため難しいのが現状です。
🤖 AI活用など“省人化”が急加速
オーナーの一部は「人件費の高さ → テクノロジー投資」に動いています。
- ドライブスルー注文をAI化
- 事前調理済み食材に切替え
- 自動ミキサー導入
- 作業の自動化
オーナー曰く:「テクノロジーのコストの方が、人を雇うより安くなってきた。」
という状況です。
👷♂️労働者側:生活改善は大きい
ただしシフト減少のケースも
労働者にとっては、生活の質が向上しています。
● 政策前の平均時給:17.13ドル
→ 20ドルで平均+17%の賃上げ
- 家計が助かる
- 食費を自分で賄えるようになった
- 家族をサポートできるようになった
など、生活改善の声多数。
ただし、
- シフト時間が減る
- 採用ペースが鈍る
という“副作用”も一部で発生しています。
🧮 他業種への波及はほぼ無し
懸念されていた「ファストフードが20ドルなら他の業種も賃上げ?」という波及は、
データ上 ほとんど確認されず。
- デニーズ
- アップルビーズ
- 小売業全般
→ めぼしい賃上げは見られない
理由は、
● ファストフード採用が鈍化 → 他業種が焦る必要が減った
という構造。
🗳️州全体の最低賃金は据え置きのまま
興味深いのはカリフォルニア州民が州全体の最低賃金を18ドルへ引き上げる案を否決したこと。
つまり、
- ファストフード:20ドル
- 一般労働者:16ドル
という「二重構造」が続いています。