米国のオフィスマーケットが、長らく続いた低迷期を抜け出しつつあります。
Avison Youngの最新「Q3 2025全米オフィスレポート」によると、全米のオフィス空室率は5四半期連続で減少し、約10年ぶりの持続的な回復傾向を示しました。
🏢 空室率の改善と市場動向
2025年第3四半期の全米オフィス空室率は22.8%。
前四半期から2,300万平方フィート減少し、うち直接空室が13.2百万SF、サブリース空室が9.8百万SF減少しています。
これは、テナントの入居活動が再び動き始めたことを示しています。
📊 リーシング活動と主要都市の回復
2025年の第3四半期までのリース成約面積は2億700万SF。
コロナ前の平均(2億4,400万SF)にはまだ届かないものの、サンフランシスコでは前年比+47%、**マンハッタンでは+9%**と、主要市場で回復の兆しが見られます。
サンフランシスコはパンデミック前の水準まであと17%、マンハッタンはわずか3%の差に迫っています。
💼 大型リースは減少も「トロフィーオフィス」は好調
一方で、10万SF以上の大型リースは今年19%減少。
しかし、クラス別に見ると明暗が分かれています。
- トロフィーオフィス(最上級物件):コロナ前平均を12.5%上回る成約
- クラスA物件:依然としてコロナ前比**−19.9%**だが回復傾向
- クラスB・C物件:コロナ前比**−32.8%**と依然低迷
最上級ビルの人気が高まり、テナントはより質の高い空間を求める傾向が鮮明になっています。
🏙️ まとめ
全米オフィスマーケットは依然として高い空室率を抱えていますが、
「5四半期連続の改善」という事実は明確な転換点を示しています。
パンデミック以降初めて、「安定した回復サイクル」が見え始めたといえるでしょう