JLLの「Retail Market Dynamics」によると、2025年上半期の小売不動産投資額は285億ドルで、前年比+23%。長期平均(277億ドル)を上回り、直近2年(2023・2024年)よりも強い推移となりました。
※ただし 2022 H1(400億ドル超)のピークには未達。
📈 投資・需給の主なトピック
- 投資額:285億ドル(+23%YoY)
- 長期平均:277億ドル → 今期は平均超え
- 建設着工:4.9百万SF(▲50%)に減速
- 空室率:全米平均4.3%で安定
- 開閉店バランス:開店約6,600 > 閉店約5,600
- オープンは1万SF以下の小型区画が中心
- クローズは1万〜5万SFの中型区画が中心
🛍️ 新規供給が細る中、既存区画の“回転速度”が上昇
- 既存区画への入れ替えが加速し、前テナント退去から新規賃貸までのラグは平均7カ月。→ 過去20年以上で最短の水準に。
- レポートは「新築は採算が合いにくい(建設コスト > 想定賃料)」と指摘。
→ スペック開発の再加速は、賃料水準と建設コストの均衡が条件。
🧭 投資家向けインサイト(要点)
- 低空室+着工半減=既存資産の希少性アップ
- 小型区画のテナント需要が強い(フード・サービス、ヘルス&ウェルネス、ディスカウント小売など)
- 中型ボックスの再活用余地(細分化・体験型テナントへの転用で賃料最大化)
- 新築より既存ストックのバリューアップ(回転、改装、用途転換)が相対優位
まとめ
供給(新築)が絞られる中、稼働力の高い既存リテールに資金が集まり、小型区画中心の需要が空室を吸収。投資家にとっては、ボックス区画の細分化・テナントミックス再編など、アクティブ運用による価値創出がカギになりそうです。