ニューヨーク市の住宅賃料は依然として上昇を続け、住民の家計を圧迫しています。最新レポート(Realtor)によると、2025年第2四半期の中央値賃料は前年比3.7%(+$123/約1万8,081円)増の$3,491(約51万3,177円)となり、パンデミック前より22.4%高い水準が続いています。
📈 物件タイプ・エリア別の上昇傾向
0〜2戸の小規模物件:前年比+4.2% → $3,436(約50万4,092円)
3ベッドルーム以上:+0.2%
行政区別ではブルックリンが年率6%上昇でトップ。続いてマンハッタン(+3.3%)、クイーンズ(+2.7%)、ブロンクス(+1%)と、すべての区でプラスとなっています。
💸 家計への負担は深刻
ニューヨーク市では、中央値賃料が平均世帯収入の55%を占める状況。これは一般的に推奨される「家賃は収入の30%以内」を大きく上回っており、約7割の市民が賃貸暮らしであることから、負担の大きさが際立ちます。
特にブロンクスでは家賃水準が低めであっても、低所得層ほど家計負担が重く、深刻な「住宅費負担過多」の問題が残っています。
🏛 新市長候補の家賃凍結案
民主党市長候補に選ばれたゾーラン・マムダニ氏は、選挙公約の一つとして家賃の凍結を掲げています。市長はニューヨーク市賃料調整委員会(NYC Rent Guidelines Board)の委員を任命することで、家賃改定を事実上コントロールできる権限を持っています。
しかし、Realtorの試算では、仮に家賃を現状で凍結しても:
年収3%増加の場合:適正水準に戻るまで約20年
年収5%増加の場合:同 約12年以上
という長期的な時間がかかる見通しです。
🔑 必要なのは複数の政策
Realtorは「適正価格化を現実的な時間で実現するには、低価格賃貸住宅の供給拡大をはじめとする複数の施策が必要」と指摘。
マムダニ氏も公約として、最低賃金を時給$30(約4,410円)へ引き上げ、今後10年間で20万戸の家賃抑制・恒久的低価格住宅を新規建設する方針を示しています。
📅 市長選は今年11月に行われ、ニューヨーク市がどのように住宅危機へ取り組むのかが注目されます。