2025年7月2日、MSCI Real AssetsとMarkerrの最新データによると、米国集合住宅市場(マルチファミリー)が2008年のリーマン・ショック期に似た下落局面に入りつつある兆候が見え始めています。
📉 価格指数:2022年のピークから下落トレンド
- 集合住宅価格指数
- 3月→4月:−1.5%
- 過去12か月:−12.1%
- この急落は2008年のパターンに酷似(ただし当時より高い水準からの下落)
- RCA商業不動産指数(5月):前年比−1.1%
「今回の下落は一時的なものではなく、続く可能性がある」とMSCIは指摘。
💵 取引量(ドルベース):前年比−18%
- 5月総取引額:82億ドル(約1.2兆円)
- 前月までの11か月連続二桁成長から一転、減少に
- セグメント別動向
- ミッド&ハイライズ物件:+3%(微増)
- ガーデンスタイル:−30%
- 単独物件取引:−17%
- ポートフォリオ&エンティティ取引:−23%
「取引減少は、価格下落・件数減少の両方が要因」とMSCIは分析。
🏠 家賃の動向:23か月連続で小幅下落
Markerrによると、集合住宅の家賃は2年近く連続で緩やかに下落。
2024年に新規供給が過去最高に達し、供給過多が賃料抑制要因に。
- 2025〜26年の完成件数:Yardi Matrixはそれぞれ+3.3%、+11.5%に上方修正
- 建築許可・着工:RealPageによると「建設サイクルの底打ち」の可能性も。
📍地域別の家賃動向
- 家賃マイナス成長が顕著な地域:オースティン(−5.9%)、デンバー(−7.5%)、サンディエゴ(−6%)、バーミングハム(−5.4%)など
- 家賃上昇が強い主要都市:ニューヨーク(+5%、$2,203)、マイアミ(+4.6%、$2,200)など
⚡ 市場の不透明感が増す理由
- 価格・取引・家賃の3指標が同時に下落
- データソースや指標により方向性が異なる
- 供給・需要のタイミングずれで相反する動きが増加
「今後数か月のデータが揃うまで、市場の方向性を判断するのは時期尚早」と専門家。
✍️ まとめ
- 3指標(価格・取引・家賃)がそろって下落中!2008年以来の調整局面へ突入
- 都市間格差が拡大:家賃の落ち込みが特に大きい都市と、復調している都市あり
- 注目ポイント:金利動向・供給ペース、主要都市の需給バランス崩れ
- 投資家への視点:調整が進めば、買いやすい資産の出現も期待されるフェーズです