~建築鈍化・高コスト環境下で既存物件の需要高まる~
Marcus & Millichap社が発表した最新レポートによると、2025年第1四半期の米集合住宅(Multifamily)空室率は5.0%と、過去2年間で最も低い水準に改善しました。
📉 空室率が全国的に改善
- 2024年末〜2025年初にかけて14万7,000戸以上のネットの入居が発生
- 年間で空室率は90ベーシスポイント(0.9%)改善し、5.0%まで低下
- クラスA・B・Cのすべての住宅タイプで改善傾向
- 主要大都市圏のほぼすべてで空室率が低下
🔧 供給鈍化・建設遅延が在庫を抑制
- 2025年第1四半期の新規完成戸数は11万6,000戸(前年より低下)
- 長期平均(5.4万戸/四半期)よりは高いが、過去1年間で最も低い水準
- 建築許可数はわずか5.4万件と、2015年以降で最低
- 建材関税・保険料高騰・労働力不足(移民政策の影響)が建設活動の足かせに
📦 既存物件の価値と稼働率が上昇
- 住み替えを控える動きが強まり、入居継続率が上昇
- 平均継続率:55.3%(前年比+1.6%)
- クラスC物件は継続率58.7%と最も高い
- 引越しコストや金利の上昇が、既存賃貸物件の長期居住を後押し
💰 価格・投資利回りの動き
- 平均売却価格:1戸あたり約20万ドル(1年間で安定)
- 平均キャップレート(利回り):6.0%(2013年以来の高水準)
- 500万ドル以下の小規模取引が全体の約75%を占め、個人投資家が活発
🔮 今後の注目ポイント
- 建築許可のさらなる縮小が、既存賃貸物件の価値向上や賃料上昇圧力を生む可能性
- 保険料は過去4年間で75%上昇し、新規開発に対する制約が強まる懸念
- 政策・関税リスクが高まる中、安定収益を生む物件への関心が集中すると見られる
🧭投資家にとっての視点
- 新築よりも既存稼働物件への投資が安全戦略となる傾向
- Class B〜C物件の安定入居率と高利回り(6%前後)は注目対象
- 供給抑制+人口増加の都市部(サンベルト、中西部など)が引き続き投資妙味あり