アメリカの30年固定住宅ローン金利が、ここにきて再び上昇しています。
2025年4月第2週の初めに1カ月ぶりの高水準となる6.85%まで跳ね上がり、前週の下落分を完全に帳消しにしました(Mortgage News Daily調べ)。
■ 株式・債券市場の混乱が金利に波及
住宅ローン金利は通常、米国10年債利回りに連動する傾向があります。
先週、トランプ前大統領が発表した世界規模の関税政策を受けて、市場はリスクオフに傾き、株価が急落。代わりに債券市場に資金が流入し、利回りが低下。それに伴い住宅ローン金利も一時的に下落しました。
Mortgage News DailyのCOOであるマシュー・グラハム氏は、「先週の金利下落は“経済が悪化する”という市場の反射的な動きによるもの」
と分析しています。
しかし今週に入り、関税交渉に対する政府高官の前向きな発言が相次ぎ、市場は落ち着きを取り戻しつつあります。結果、金利は再び上昇に転じました。
■ 春の住宅市場、回復の兆しかと思いきや…
金利が下がった先週、アメリカの不動産関係者の間では、「停滞していた春の住宅市場が活気づくかもしれない」と期待が高まっていました。
とはいえ、現実には住宅価格の高止まりと経済・雇用への不安感が依然として重くのしかかっています。
Realtor.comのチーフエコノミスト、ダニエル・ヘイル氏は、「売り出し物件は増えているが、高コストと経済不安により買い手の反応は鈍い」
と3月の市場レポートで指摘しています。
■ 金利は下がっても、売上には直結せず
今年最大の金利低下は1月~2月で、当時の金利は7.26%から6.74%まで低下しました。
それにもかかわらず、中古住宅の契約件数(Pending Home Sales)は1月比で+2%の小幅増加にとどまり、前年同月比では3.6%減という結果に。
NAR(全米不動産業者協会)のチーフエコノミスト、ローレンス・ユン氏は次のように述べています:「契約件数は歴史的平均よりかなり低い。住宅ローン金利が本格的に下がらなければ、需要と供給の両方が回復しない」